デンマークは世界的に有名なデザイナーを数多く生み出しているデザイナー大国です。「デザインの聖地」とも呼ばれる首都・コペンハーゲンは、建物やインテリア、日常に使う雑貨まで美しいデザインが街並みに溶け込んでいます。

北欧家具と言っても様々な特長があり、ヨーロッパ諸国のどの国から影響を受けたかによっても系統がわかれます。デンマークは、バウハウスといったドイツの影響が見て取れます。デンマーク家具の良さは、バウハウスの無駄を無くした理念をうまく取り入れつつ、自国のデザインを作り上げたところにあるといえるでしょう。

シンプルで機能的なデンマークの50~70年代の家具は、特長がないのが特長だと言われることがあります。この時代に活躍したデンマーク出身のデザイナーの多くは、デンマーク近代家具デザインの父と呼ばれている偉大な職人、コーア・クリントンから教えを受けています。このクリントンの考え方は、デザイン重視ではなく「シンプルで、一般庶民が買うことができる量産家具を作る」というもので、クリントンは人体寸法や生活用品などから標準寸法を確立するなど、家具の世界に多くの功績を残したのはもちろんのこと、さらにそれを後世へ受け継ぎ、ウェグナーやヤコブセンなどの多くの弟子を育成し世の中に送り出しました。 当時のデンマークでは、住宅事情があまりよくなく、ただでさえヨーロッパ人は体形が大柄なのに部屋も狭く、いかに空間を効率良く使うか、というところに工夫が求められる時代でした。この頃の北欧家具にはそのような考えが随所にみられ、ダイニングテーブルにはエクステンション付きで、普段は場所を取らないが来客時にはプラス4人くらいの席を設けられる工夫があったり、ブックケースなのに、食器棚としても使える設計になっており、さらにそこから天板が引き出せるようになっていてちょっとした書き物もできたりと、デザイナーたちがいかに創意工夫がしていたかがわかります。元々、使い勝手を重視しているので気持ちよく使え、装飾も限りなく少なく作ってあり、現代ある家具に新たに加えても馴染みやすいのです。 また、デンマークのヴィンテージ家具が人気を博している理由として、デザイン的に優れているというだけではなく、家具の素材に「チーク」が使われているということも1つの理由でしょう。この素材は水に強く丈夫で、年を重ねるごとに、紫外線の影響をうけて褐色に変化し、とても味のある色になっていきます。この味のある褐色はとても人気があり、この色がほしくてヴィンテージ家具を選ぶ人も多いです。しかし、北欧家具にはチーク材家具が多く残されているのにもかかわらず、チークはデンマークに自生している木ではありません。